急性鼻炎・慢性鼻炎
急性鼻炎の主な特徴
急性鼻炎とは、鼻粘膜が炎症を起こした状態で、ほとんどの場合がウイルス感染による症状のひとつとして現れます。よく「鼻かぜ」と呼ばれるのは、急性鼻炎のことを指します。
あらゆる年齢層に見られ、季節の変わり目などに多い疾患だとされています。また、疲労が蓄積し免疫力が低下している時には、ウイルス感染に続いて細菌感染が生じることもあるとされています。
最初はくしゃみ・鼻水・鼻づまりが起こりますが、次第に鼻水は水溶性から粘液性のものに変化していきます。そこに細菌感染が合併すると、鼻水は黄色い膿の状態になります。
急性鼻炎の主な治療法
急性鼻炎の場合は、風邪であれば、栄養に気をつけ、身体を温めて安静にしていれば、ほとんどの場合、数日でよくなってくるとされています。
急性鼻炎の鼻づまりをやわらげるためには、点鼻薬や内服薬による薬物療法が行なわれたり、ネブライザー(吸入器)を使用して、水分を霧状にし、鼻腔の粘膜を潤す方法が用いられたりします。
慢性鼻炎の主な特徴
慢性鼻炎では、鼻の中の粘膜が赤く腫れる症状が起こります。その炎症が長引くと、粘膜が分厚く硬くなったり、ブヨブヨした状態になったりします。
そのようになる原因の一つには、急性鼻炎の繰り返しによって慢性化したことが挙げられます。それ以外にも副鼻腔炎や鼻中隔湾曲症が関係していたり、風邪やその他の気道疾患、血液疾患、アレルギー体質などが原因となっていたりするなど、様々な場合が考えられます。
慢性鼻炎になると、鼻粘膜が慢性的に腫れることで、鼻づまりが続いてしまうことになります。この症状は精神的に緊張すると、より悪化しやすくなるとされています。
鼻づまりが続くと口呼吸を引き起こすため、ウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなります。また、冷たく乾燥したい空気が直接肺に送られる可能性が高まるので、肺に刺激を与えやすくなります。
それ以外にも、鼻づまりが続くと、嗅覚に障害が起こる可能性が高まります。鼻粘膜が腫れることで鼻腔がふさがってしまい、嗅覚細胞がある嗅上皮(きゅうじょうひ)まで空気が届きにくくなるためです。
また、嗅上皮自体が炎症によって変化し、機能障害を起こして働きが鈍くなる場合も考えられます。
他にも、慢性鼻炎では、鼻根部から前頭部にかけての頭痛や疼痛、重苦しさなどを訴えるようになることが多くなるとされています。
さらに、粘液性または粘液膿性の鼻汁を伴い、強い不快感を招くとされる鼻汁がのどに流れる後鼻漏が起こる可能性もあります。
慢性鼻炎の主な治療法
慢性鼻炎では主に局所療法が用いられます。慢性のためにすぐには治りませんが、炎症を抑えるために血管収縮薬の点鼻薬がよく使われます。しかし根本的な治療ではないため、初期段階ならともかく、長期間使用すると、鼻粘膜を厚くして鼻腔を狭くするおそれがあると言われています。
また、全身療法として内服薬が利用されることもあります。
そのほか、点鼻薬だけでは改善されないほど、鼻粘膜が肥厚している場合は、レーザー治療が有効だとされています。